健幸のたね
第2回「男性はがんと生活習慣病に女性は足腰の不調を含めた虚弱化、認知症に注意が必要」
自分よりも年長の方と健康のお話しをすると、「孫の結婚式を見るまで生きたい」「元気でいたいけど、長生きは希望していない」「認知症になりたくない」「寝たきりにならないように」などの声を耳にします。
そんな声と合っている2つの調査結果があります。
【調査結果 その1】
国立長寿医療研究センターが、40歳以上の人に「あなたは長生きしたいですか?」と言う質問をした調査では、半数以上の人が「長生きしたくない」と回答しています。
(2011年 Kaoヘルスケアレポート)
【調査結果 その2】
40代以上の男女4700人にインターネットで行った「最もなりたくない疾患」の調査では、1位は認知症、2位はがん、3位は脳卒中の結果でした。
(2012年 製薬会社ノバルティス ファーマ)
第1回の「健幸のたね」で、平均寿命と健康寿命(健康上の理由で日常生活が制限されない期間)の間には10年ほどの差があるというデータを示しましたが、「長生きしたくない」と答えた方はそのようなデータや身近な声、思いから、元気な自分が想像しにくい、長生きの良い話を聞かないなどがあるのかもしれません。
そして出来れば避けたいのが、介護が必要になりやすい「脳卒中」、死に直面しやすい「がん」、そして『自分が自分でなくなる恐ろしさ』を感じさせる「認知症」なのでしょう。
この2つの調査や生の声からみても、『ある程度は老後生活を楽しみたいし、元気で年を重ねたい』『寝たきりや介護が必要な状態、病気は避けたい』という思いが見えてきます。
『敵を知り、己を知れば百戦殆からず(あやうからず)』のことわざを参考に、敵?となる「がん」と「要介護原因」の状況をみてみましょう。
1. “がん”について
皆さんご存知の通り、現在、日本では2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなるといわれています。
がんの罹患率は年齢と共に上がり特に男性は50代からその罹患率が高くなります(図1)。加えて男女合わせた40〜89歳の死亡原因1位は“がん”(図2)となっています。
「退職してすぐにがんに…」「まだまだ若い年齢なのに…」を避けるためには、年齢と共にがんのリスクが高くなることを踏まえた対応が必要です。
一方、年齢を重ねると共に個々の健康状態や体力、体調の差から、がん検診を受けることの利益と不利益の個人差が大きくなることが知られており、国によっては検診部位により年齢上限が設けられています。70歳前後からの検診についてはかかりつけ医と相談すると共に、何らかの自覚症状がある際は早めに受診していきたいところです。
また高齢になるとがんの進行が遅くなりがちですし、医療の進歩により、がんは“怖い病気”から“長く付き合う病気”となってきていますから、「がんといかに付き合うか」も大切な視点となります。
2.男女別 “介護が必要となった原因”について
がんによる早期死亡だけでなく、要介護状態も避けたいところです。
図3の介護が必要となった原因の2007年と2013年の調査結果をみると、男女共に脳卒中が減少し、認知症の割合が若干増加傾向であることが分かります(認知症が増加している原因は高齢化が進んでいることが一因といわれています)。
性別で見ると、男性は減少傾向ながらも脳卒中がその4分の1を占め、最も多い原因となっています。また、その他の割合が増加していますが、その他にはパーキンソン病、呼吸器疾患、脊椎損傷、糖尿病、視聴覚障害などが含まれます。
一方、女性は認知症が最も多い原因となっています。しかし、骨折・転倒と関節疾患を合わせると『足腰の不調』が認知症を越える割合となります。
また、女性の場合は症状が致命的ではない、初期には深刻とは思われない症状から心身の虚弱化や病気をもたらし介護が必要となる傾向にあります。
前述のがんと合わせてみると、定年後は
男性はがんと生活習慣病に、
女性は足腰の不調を含めた虚弱化、認知症に注意が必要
であることが分かります。
元気な70代になるためには60代の過ごし方が、パワフル80代になるためには70代の過ごし方が大切になります。
性別により注意点が異なることから、共通する万能対策なんてなさそうですが・・・
実はあるんです。
それは運動!がんにも認知症にも効果あり!
次回は自分の目指す年の重ね方に繋がる、万能薬な運動(活動)の話を、ウォーキングを中心にお伝えする予定です。